『四月十三日』

微睡みの中、壁を挟んだむこう側から微かに声が聞こえる。




何を話しているのかもわからず、ただただぼんやりと、僕はそれを聞いている。




薄明かりの、目を閉じた赤い闇の中で輪郭の無い声が漂う。




懐かしい声。




これは誰の声だろう。




まるで水の中のように、ゆらめいて、泡のように消えていく。これは誰の声だろう。




不確かな闇の中、道標のように。それは遠い記憶。それは僕の中だけの記憶。




壁のむこう、戸のむこう、ドアのむこう、静かな喧騒は終わらない。




僕はドアを開けられず、ここにいてはならぬとわかっていながらも、立ち尽くしその声を聞いていた。




そうだ。




煙のように、陽炎のようにそれはまた、今日も微睡みの中で姿を現す。





初音瞭


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Sol.星の花 旗上げ公演「Voice in the Wind」ーヴォイス・イン・ザ・ウインドー

2017/6/2(金) 19:00 ~ 2017/6/4(日) 17:00

高円寺 明石スタジオ

チケット購入先

劇団Sol.星の花

命の平等・大切さ、思いやりを持つことの大切さを伝えるため2017年、「災害で消えた小さな命展」代表のうさが立ち上げた劇団です。 脚本・演出もうさが勤めています。 『Sol - ソル - 』の意味は「Ship of love(愛の船)Ship of light(光の船)」またSolは太陽や生きるという意味も持っています。 「星の花号」という船に乗って世界中に愛と光の種を蒔き星の花を咲かせていきます。

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