傘-末次由樹-
「傘」という言葉でおじいちゃんの杖を思い出した。
おじいちゃんの杖は傘でできている。
おじいちゃんお手製の杖だ。
おじいちゃんの杖を思い出したら、おじいちゃんの傘にまつわる話を思い出した。
お母さんがまだこどもだったとき、おじいちゃんはよく曲がってしまったお母さんの傘の骨をなおしてくれたらしい。
そこでふと自分に立ち返る。
わたしと傘の思い出は?
わたしと傘はいつも一緒だ。
傘は常にわたしのバッグの中にいて、雨がいつ降っても大丈夫なよう、しっかり準備を整えてくれている。
わたしができることは何だろう?
大切にすること。もっともっと大切にすること。
今はおじいちゃんのように器用に作ったりなおしたりはできないけれど、「大切にすること」からできることがきっとある。
だから
今日も。
傘の入ったバッグを背負って、
元気いっぱい、いってきます!
末次由樹
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